私の名盤 第3回 (読み物コーナー)

2012.01.12 - 60-70's ROCK


SOFT MACHINE / THIRD 1970

ヒュー・ホッパー作の1曲目から、甘さを捨てきったソフトマシーンのジャズへ傾倒していく最初の1枚。 


ケヴィン・エアーズがいた頃のサイケさや2ndにあった軽妙さが嘘のように消え、ポップミュージックに背を向けて、新しい表現に挑もうとするメンバーの熱い思いが伝わってきます。 

アルバム全体のイメージを決定づけているのは4曲中2曲を作曲したヒューホッパーではないでしょうか。演奏面でも強烈に歪ませたファズを武器にアグレッシブな彼のベースプレイが聴けます。またマイク・ラトリッジも地味ながらも理知的でスムーズな作品を作っています(長い逆回転のイントロ・アウトロも2枚組ならでは)。 現代音楽を好み、のちカール・ジェンキンスとミニマルで独自の透明感溢れる作品を作り出す彼の作風がここで垣間見れます。

その中でもただ一人だけ、ロバートワイアットは「6月の月」でジャズともロックともポップとも判別のつかない曲を作り(唯一のVO曲)、一人異彩を放っているのですが、ここでの表現はまさしく彼独自のものです。

他のメンバーがジャズというスタイルに傾倒している間にも、どうしてもはまりきれない彼がこのアルバムにはいます。その空間のギャップを認め、諦め、グループという枠をはみ出たその瞬間に、本当の意味での緊張感があり、美しさがある。グループにいる彼はいつもそのような役割に自分を置いていたような気がします。 
そのことは同時に終わりを意味する訳で彼はもう1枚、いちドラマーとして参加したアルバムを残し、グループを去ることになるのです。 

ジャンルの枠組みのなかで新しいことをやろうとする他のメンバーよりも、そこに属さなかったワイアットの曲が革新的に聴こえるある意味皮肉な作品ではありますが、若さならではの熱気と、彼ら独特の醒めた視点が交じり合う奇跡的な傑作だと思います。    (スタッフ池田)
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